日本における山岳仏教と霊山信仰が誕生・発展したのは近畿地方を中心とした8~9世紀。各地の高山が修験者によって開山され、山岳寺院が営まれて、その歴史が始まりました。

 奈良~平安時代、社会の変貌の中で古代の原始的な信仰(荒ぶる自然のカミ)は力を失い、最澄・空海によって開立された天台・真言の両宗に代表される平安仏教が台頭します。

 さらに土着の神々と仏教を融合させる「神仏習合」思想が発展する中、荒ぶるカミは仏によって穏やかな神となり、それまで怖れの対象だった奥地の高山は当時仏教者に求められた清浄性と呪術的能力を獲得するための絶好の「修行の場」として、さらに人々を救済する「仏の山」として変貌を遂げていったのです。

 そして、その大きな波はやがて北奥の地・十和田山へ到達します。

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